こんにちは!アイカーマガジン編集部です!
「最近、ガソリン代が安くなった」そんな声がここ数週間でぐっと増えてきましたよね。
少し前までは給油のたびにため息が出るような価格でしたが、暫定税率の廃止に伴い給油価格が落ち着きました。とはいえ、ニュースで耳にする「暫定税率」という言葉については、
- 結局これは何なのか?
- なぜガソリン価格に関係しているの?
- もし無くなったら値段ってどれくらい変わるの?
といった部分は、意外とよく知られていません。
この記事では、ガソリン価格に大きく影響している「暫定税率」について、
- 仕組み
- これまでの経緯
- いまガソリンが下がってきている背景
- 暫定税率がなくなった場合のイメージ
などを、車に詳しくない人でもわかるように解説していきます。
なぜガソリン価格が高騰するのか、政府はどんな対策をしているのか、そして暫定税率がなくなると私たちの家計にどんな変化が起こるのか、その全体像が掴めるはずです。
そもそもガソリンの「暫定税率」とは?

「暫定」というからには一時的な措置のはずなのに、なぜこんなに長く続いていたのでしょうか。
まずは、この不思議な税金の基本的な仕組みから見ていきましょう。
暫定税率のざっくりとした仕組み
暫定税率とは、正式には「当分の間税率」と呼ばれるもので、ガソリンにかかる「揮発油税」と「地方揮発油税」、そして軽油にかかる「軽油引取税」に、それぞれ上乗せされている税金のことです。
具体的には、ガソリン1リットルあたり25.1円、軽油1リットルあたり17.1円が、この暫定税率分として上乗せされています。
もともとは1974年に、道路整備を急ピッチで進めるための財源として導入されました。
「暫定」と言いながらも、道路の建設や補修には継続的にお金がかかるため、何度も延長が繰り返され、半世紀近くも続いてきたのです。
ガソリン税の内訳はどうなってる?

私たちが普段支払っているガソリン価格には、さまざまな税金が含まれています。ガソリンスタンドのレシートを見ても、その内訳までは分かりにくいですよね。
ガソリン価格は、大きく分けて以下の4つで構成されています。
- ガソリン本体価格:原油価格や為替レート、精製コストなどによって変動します。
- 揮発油税・地方揮発油税:ガソリン税の本体部分です。ここに暫定税率が上乗せされています。
- 石油石炭税:石油や石炭、天然ガスといった化石燃料全般に課される税金です。
- 消費税:上記の「本体価格+各種税金」の合計額に対して、さらに課税されます。
ガソリン税に消費税がかかる「二重課税」問題については、後ほど詳しく解説します。
軽油・灯油との関係は?
暫定税率は、ガソリンだけでなく軽油にも課されています。軽油の場合は「軽油引取税」に1リットルあたり17.1円が上乗せされています。ディーゼル車に乗っている方や、物流業界にとっては非常に大きな負担です。
一方、冬場の暖房などで使われる灯油には、暫定税率はかかりません。ただし、原油価格が高騰すれば灯油の価格も上がるため、政府の燃料油価格補助金の対象には含まれています。
暫定税率はいつから・いつまで?

半世紀近く続いてきた暫定税率ですが、ついに廃止が決まりました。
ここでは、これまでの経緯と今後のスケジュールについて見ていきましょう。
過去から現在までの流れ
暫定税率は、道路整備の財源として導入されて以来、何度も期限切れのたびに延長されてきました。特に2008年には、暫定税率が一時的に失効し、ガソリン価格が1リットルあたり約25円下落したことがありました。
この時、多くのガソリンスタンドでは「品切れ」の看板が掲げられ、給油を待つ車で大渋滞が発生しました。このときの社会的な混乱の経験は、現在の政府の対応にも影響を与えています。
そして現在、ガソリン価格の高騰が国民生活を圧迫していることを受け、政府は暫定税率の廃止を本格的に検討し始めました。
今後のスケジュールはどうなる?
資源エネルギー庁の情報によると、政府は急激な価格変動による混乱を避けるため、税率廃止の前に補助金を段階的に拡充し、市場価格を緩やかに引き下げる方針です。
- ガソリン(暫定税率25.1円/L):2025年11月28日に「暫定税率廃止法」が参院本会議で可決・成立し、2025年12月31日をもって廃止されることが正式に決定しました。
それに先立ち、補助金は以下のスケジュールで段階的に増額されました。
具体的には、2025年11月13日に補助金が10円から15円へ増額され、11月27日にはガソリン補助金が20円、軽油補助金が17.1円となりました。
さらに12月11日にはガソリン補助金が25.1円に達し、暫定税率分と同水準の値下げ効果が実現されました。 - 軽油(暫定税率17.1円/L):2026年4月1日に暫定税率が廃止されます。
補助金も同様に、2025年11月27日から17.1円/Lが支給され、12月11日以降はこの水準が維持されています。

つまり、税率が廃止される日にいきなり25.1円安くなるわけではない、という点が重要なポイントです。
なぜ政府はガソリン価格高騰時に動くのか?
ガソリン価格が上がりすぎると、私たちの生活にはどのような影響があるのでしょうか。
政府が補助金を出してまで価格を抑えようとする理由を解説します。
補助金(燃料油価格激変緩和措置)の仕組み
現在、政府は「燃料油価格激変緩和措置」として、石油元売り会社に補助金を支給し、ガソリンや灯油、軽油などの卸売価格の上昇を抑制しています。
この補助金があるおかげで、私たちは原油価格が急騰しても、その影響を直接受けずに済んでいます。暫定税率の廃止に向けて、政府はこの補助金の額を段階的に引き上げていくことで、緩やかな価格引き下げを目指しているのです。
なぜ補助金が必要なのか?
ガソリン価格の高騰は、個人の家計を直撃するだけではありません。
- 物流コストの上昇:トラック輸送が中心の日本では、燃料費の上昇が運送コストに跳ね返り、最終的にはスーパーに並ぶ商品の価格にも影響します。
- 地方経済への打撃:車が生活必需品である地方では、ガソリン代の上昇は通勤や通院、買い物など、生活のあらゆる場面で負担増につながります。
- インフレの加速:エネルギー価格の上昇は、さまざまな製品やサービスのコストを押し上げ、物価全体が上がる要因となります。
このように、ガソリン価格は経済全体に大きな影響を及ぼすため、政府は価格が上がりすぎないように介入する必要があるのです。
暫定税率がガソリン価格に与える影響
では、暫定税率がなくなると、私たちの生活は具体的にどう変わるのでしょうか。
家計への影響をシミュレーションしてみました。
税金がある場合 vs なくなった場合の比較

暫定税率(25.1円/L)がなくなると、単純計算でガソリン価格はその分だけ安くなります。
例えば、月間50リットルのガソリンを使う家庭の場合、
25.1円/L × 50L = 1,255円
毎月1,255円、年間で15,060円の負担軽減につながります。
通勤やレジャーで長距離を走る方なら、家計への負担はさらに少なくなります。
物流や地方への影響

影響は個人の家計だけにとどまりません。
- 物流業界:燃料費がコストの大部分を占める運送会社にとっては、大幅なコスト削減につながります。これにより、運送料金の値下げや、物価の安定が期待できます。
- 地方在住者:一人一台の車が当たり前の地域では、ガソリン代の負担軽減は生活の質を大きく向上させます。ガソリン代の負担が減って浮いたお金が地域の消費に回ることで、地方経済の活性化にもつながる可能性があります。
政府の対応とこれまでの議論
暫定税率をめぐっては、これまで国会でさまざまな議論が交わされてきました。
ではなぜ、これほどまでに改正が難しかったのでしょうか。
「道路特定財源」とは何だったのか?
かつて、ガソリン税の税収は「道路特定財源」として、その使い道が道路の建設や維持管理に限定されていました。暫定税率がなかなか廃止されなかった大きな理由の一つが、この制度の存在です。
しかし、2009年に道路特定財源制度は廃止され、ガソリン税収は国の一般財源(使い道を特定しないお金)に組み入れられることになりました。税収を道路整備以外にも使えるようになった一方で、「道路のため」という課税の根拠が曖昧になったという批判も出ています。
なぜ改正が難しかったのか?
改正が難しい最大の理由は、安定した税収が失われることへの懸念です。
ガソリン税は、国にとって年間数兆円規模の貴重な財源です。暫定税率を廃止すれば、その分だけ税収が減ってしまいます。
少子高齢化が進み、社会保障費が増大する中で、代替となる新たな財源を確保するのは容易ではありません。そのため、政府はなかなか廃止の決断に踏み切れずにいたのです。
よくある疑問まとめ(FAQ)
最後に、ガソリン税に関してよく寄せられる質問にお答えします。
Q1. 「ガソリン二重課税」問題って何?
A. ガソリン価格には、ガソリン本体価格とガソリン税(揮発油税+地方揮発油税)が含まれていますが、消費税はこれらの合計額に対して課税されます。
つまり、「税金(ガソリン税)にさらに税金(消費税)がかかっている」状態であり、これが「二重課税」だと長年問題視されています。
暫定税率が廃止されても、この構造自体は変わらない見込みです。
Q2. なぜガソリンスタンドによって値段が違うの?
A. ガソリンスタンドの価格は、各店舗が自由に設定できます。
仕入れ値の違い、配送コスト、人件費、周辺の競合店の価格などを考慮して決められるため、地域や店舗によって価格差が生まれます。
セルフサービスのスタンドが比較的安いのは、人件費を抑えられるためです。
Q3. 暫定税率廃止後の補助金や価格動向はどこで確認できますか?
A. ガソリンの暫定税率は2025年11月28日に国会で可決・成立し、同年12月31日をもって正式に廃止されることが決定しました。
廃止後の価格動向や補助金の情報については、経済産業省や資源エネルギー庁のウェブサイト、または信頼できるニュースメディアで確認するのがおすすめです。
特に資源エネルギー庁は、毎週の石油製品価格調査の結果を公表しているため、最新の補助金やガソリン価格の動向をリアルタイムで把握するのに役立ちます。
まとめ
ここまでガソリンの暫定税率について詳しく見てきました。
最後に、私たちが押さえておくべきポイントを簡潔にまとめます。
- 暫定税率はガソリンに25.1円/L上乗せされている税金。
- 2025年12月31日に廃止されます。
- 廃止されれば、家計や物流コストの負担が軽減され、経済全体にプラスの影響が期待される。
ガソリン価格は、原油価格や為替レート、そして国の税制など、さまざまな要因が複雑に絡み合って決まります。
暫定税率の廃止は、私たちの生活に直接的な恩恵をもたらす大きな一歩となることは間違いないでしょう。