こんにちは!アイカーマガジン編集部です!
災害時に自宅や避難所での生活が難しい場合、「車中泊避難」を選択する場面があります。しかし、準備が不十分だと狭い車内での生活はストレスや健康に悪影響を及ぼすことも。
とくに「エコノミークラス症候群」や寒暖差による体調不良には注意が必要ですが、普段から車に防災用品を備えておけば、いざという時に安心です。
本記事では、「車中泊避難」を少しでも安全・快適に過ごすためのコツや、事前に用意しておくべき持ち物をチェックリスト形式でご紹介します。
この機会にポイントを確認して災害時に備えましょう。
\YouTubeもやってます!/
災害避難と車中泊の基礎知識
日本は天災などの自然災害が多い国として有名です。
いざ災害が起こったときに最も大切なのは、命を守ることです。避難の手段や場所としては自宅や避難所のほかに、自家用車での車中泊も選択肢の1つ。
ここでは、災害時の避難に関する基本的な考え方や車中泊避難について説明します。
災害避難の基本的な考え方
災害避難とは、地震や台風、津波などの災害が起こったときに、命を守るために安全な場所に移動することを指します。
避難の基本は、防災マップを利用して地域の災害リスクを把握し、安全な自宅や他の安全な場所に避難する「分散避難」を検討することです。
避難先の優先順位は以下の順で考えます。
- 自宅(安全が確保できる場合)
- 安全な親戚・知人宅やホテル
- 避難所
事前に家族で避難先を決めておき、浸水や土砂災害の危険がない安全な場所を選ぶことが大切です。
「車中泊避難」とは
災害時に自家用車の中で一時的に避難生活を送ることを車中泊避難といいます。
自宅よりも安全な場所へ移動でき、避難所よりもプライバシーが保たれやすいという利点がある一方で、長期間の車中泊はさまざまな健康リスクが伴うため、適切な対策が必要です。
災害時に車中泊避難を選ぶ際は、自治体の避難計画や駐車できる避難場所を事前に確認しておく必要があります。
いつ車中泊避難を選択すべきか
震災時の避難方法は原則として徒歩が推奨されています。
車での避難は渋滞によって逃げ遅れることや救助活動への影響、さらには車両が浸水するなどの二次災害が発生する恐れがあります。
そのため、徒歩での移動が難しいなど「やむを得ない場合」に限り、車での避難を検討するべきです。
徒歩での避難が危険な地域では渋滞を避けるための避難ルートを計画したり、知人の車に相乗りすることを推奨して車の数を減らすなど、独自の対策を講じている自治体もあります。
車中泊避難のメリットとデメリット
車での避難や車中泊避難にはいくつかのメリットとデメリットがあるため、状況に応じて適切な判断が求められます。
車中泊での避難に関するメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
メリット1:プライバシーの確保

まず、家族のプライバシーを確保できる点が大きなメリットとして挙げられます。
避難所ではスペースが限られているためプライバシーを守ることが難しいですが、車の中ではある程度の個室感を得ることが可能です。
また、車は施錠が可能なため、侵入や盗難といった犯罪から自分たちを守ることができるという防犯面でも利点があります。
さらに、避難所には多くの人が集まるため周囲への気配りが必要です。
とくに体の不自由な方や小さな子ども、ペットを連れている家族にとっては周囲との気まずさを避け、気遣いの負担を軽くできることも車中泊避難の大きなメリットであると言えるでしょう。
メリット2:感染症対策

車での避難は、感染症対策としても非常に効果的です。
公共の避難所に比べて車内で過ごすことで、他の人との接触を最小限に抑えられ、感染症のリスクを減少させることが可能です。
とくに近年のパンデミックを考慮すると、個別の空間を持つことや人との距離を保つことがますます重要になっています。
車での避難や車中泊避難は、他者との距離を保ちながら安全に避難生活を送ることが可能です。
メリット3:移動の自由度
車を持っていても、自宅に車を置いたまま徒歩で避難した後に、さらに移動が必要となった場合に車が使えないという問題が生じることがあります。
事前に避難先まで車で行っておくことで、そこからの移動手段を確保することが可能です。
デメリット1:健康リスク

車中泊避難には以下のような健康リスクが伴います。
- エコノミークラス症候群:一般的な車両での車中泊は長時間座ったままの体勢が多くなることから、血栓が形成されて血管が詰まってしまう
- 低体温症・熱中症:車内の温度を適切に管理するのが難しいため冬には低体温症、夏には熱中症のリスクがある
- 一酸化炭素中毒:積雪時などにアイドリング状態にしていると、マフラーが雪で塞がれ排気ガスが車内に侵入すると引き起こす
車での避難や車中泊を検討する場合はこれらのリスクをしっかりと理解し、適切な対策を講じる必要があります。
デメリット2:燃料・電源の制限

燃料や電源に限りがあることも車中泊避難の大きなデメリットです。
とくに長期間の避難生活となる場合は、車の燃料が不足したり、電源が確保できないことが深刻な問題になります。
たとえば、寒冷地や寒い季節に避難する際には暖房が必要ですが、燃料が切れてしまうと体温を保つことができません。
また、暑い季節には冷房が必要ですが、電源がないと車内の温度が急激に上昇して熱中症の危険性が高まります。
このように、基本的な生活環境を維持するための燃料や電源が不足することは、避難生活の質を大きく低下させるだけでなく、命の危機にもつながる重大な要因となります。
デメリット3:支援物資の受け取り
避難所に入らないことで、支援物資や必要な情報を受け取ることが難しくなる可能性も考慮しなければなりません。
避難所では食料や水、医療品などの支援物資が提供されることが一般的ですが、車中泊ではこれらの支援を受ける機会が減ってしまいます。
また、避難所では災害に関する最新情報や避難指示、復旧活動についてのアナウンスが行われますが、車中泊ではこれらの重要な情報を逃してしまう可能性もあるでしょう。
このため、車中泊での避難には支援の受け取りや情報収集に対する不安が生じることがあります。
車中泊避難の準備と必要なもの一覧
車中泊避難にはデメリットもありますが、適切な準備でリスクを軽減できる可能性があります。
以下は、車中泊避難に必要な準備品リストです。万が一に備えて、事前に用意しておきましょう。
☐ | 毛布 | ☐ | 給水タンク |
☐ | テープ・紐 | ☐ | ラップ |
☐ | 携帯トイレ | ☐ | LEDランタンなどの照明 |
☐ | クーラーボックス | ☐ | 着替え |
快適に過ごすための便利グッズ
避難生活をより快適にするために準備しておきたいグッズは以下のとおりです。
☐ | レジャーシート | ☐ | 耳栓・アイマスク |
☐ | 多機能ナイフ | ☐ | シガーソケット用充電器 |
☐ | 車内加湿器 | ☐ | ポータブル電源 |
季節別の追加アイテム
季節に合わせた対策グッズの用意も欠かせません。
防水性や防風性に優れたサバイバルブランケットは、折りたたんでコンパクトに収納できるのでとても便利です。
寒い時期にはアルミマット、暑い時期には車に取り付けられる網戸のウィンドウネットが役立ちます。
車両の事前チェックポイント
車中泊避難に備えて、事前に車両確認も行いましょう。
とくに重要なポイントは以下の2点です。
- ガソリンの管理
- 水平に寝られるスペースが作れるか
万が一の災害に備えるという意味合いでも、ガソリンは常に満タンに近い状態にしておくことが望ましいです。いざというときは、エアコンやバッテリー充電などの機能を利用することもできます。
とくに長時間の避難生活を送る際には、ガソリンが不足すると快適さが損なわれるだけでなく、緊急時に必要な機能が使えなくなる恐れがあります。
そのため、ガソリンが半分になったら給油するなど常に余裕を持った状態を維持しましょう。
次に、自動車の座席がフルフラットになるかどうかを確認することも大切です。水平に寝られる環境を整えることで、エコノミークラス症候群を防ぐことができます。

もし座席がフルフラットにならない場合は、段差や隙間を埋めるためにクッションやタオルを使うと良いでしょう。
症状別予防策
車中泊での避難には、健康に影響を与えるさまざまなリスクが伴います。リスクをしっかり考慮して安全に過ごすことが大切です。
車中泊を行う際に注意すべき健康リスクの予防策について説明します。
エコノミークラス症候群の予防法
エコノミークラス症候群を予防するためには、避難後に以下の過ごし方を心掛けることが非常に大切です。
☐ | 血流を妨げない姿勢や服装 |
☐ | 水分補給をこまめにする |
☐ | アルコール・タバコは控える |
☐ | できるだけ水平な状態で寝る |
熱中症・低体温症対策
車中泊で避難する際には、夏の熱中症や冬の低体温症に注意が必要です。
より快適で安全な環境を作るために、温度差を少なくする工夫をしましょう。
☐ | 車の窓やドアを開けて風を通す | ☐ | マットと寝袋で保温する |
☐ | 日中は車内にいる時間をできるだけ減らす | ☐ | アウトドア用ダウンや保温インナーを着る |
☐ | どうしても暑いときはエアコンを使う | ☐ | どうしても寒いときはエアコンを使う |
一酸化炭素中毒の予防
車中で長時間エンジンをかけたままにしていると、一酸化炭素中毒のリスクが高まります。
この危険を避けるために以下のポイントに注意しましょう。
☐ | エンジンのかけっぱなしは避ける |
☐ | エアコンは外気を取り込みながら動かす |
メンタルが疲弊しないための対策
車中泊での避難は、限られたスペースで長時間過ごすことになるためストレスが大きくなりがちです。
ストレスを少しでも減らして快適に過ごすためには、深呼吸をしてリラックスすることや、適度な運動で体をほぐすことが大切です。
無理をせずに自分のペースで過ごし、心身の負担を軽減する工夫をしましょう。
車中泊避難のコツ

ここからは、車中泊で避難する際の適切な駐車場所の選び方や車内スペースの有効活用など、実践的な車中泊避難のコツを詳しく解説します。
適切な駐車場所の選び方
車内で過ごしているときは無防備な状態です。
災害や健康のリスクだけでなく、避難中に車上荒らしやいたずらが起こる可能性についても注意する必要があります。
以下のポイントを参考に、安全な駐車場所や防犯対策を検討しましょう。
☐ | 浸水などの心配がない場所か |
☐ | 地盤が緩んでいないか |
☐ | 人通りが多く明るい場所か |
☐ | 傾斜はないか |
☐ | 近くにトイレがあるか |
これらの注意点を確認し、さらにできるだけ自治体が指定している駐車場所を選ぶことをおすすめします。
車内スペースの有効活用
車内の限られたスペースを上手に活用することで、避難中の快適さが大幅に向上します。
以下のポイントを参考にして、車内スペースを有効に使いましょう。
- 使用頻度で分けて収納する
- 収納アイテムを活用する
- 座席のシートを工夫する
- 圧縮袋を活用する
頻繁に使うものは助手席やドアポケットに置き、たまに使うものはシート下や足元に収納するなど、使用頻度に応じた収納方法がおすすめです。
不要なものはトランクやルーフボックスにしまうと良いでしょう。
また、ヘッドレストや天井ネットを使った吊り下げ収納などの収納アイテムを活用することで、スペースを有効に使えます。
さらに、快適な睡眠スペースを確保するためにはシートアレンジが重要です。後部座席をフルフラットにし、運転席や助手席を前にスライドさせることで広いスペースを作れます。
季節の衣類や毛布などは圧縮袋を使うことでコンパクトに収納でき、座席の凹凸や足元のスペース埋めに役立つだけでなく、保管時の汚れ防止にも有効です。
トイレ対策
車中泊避難でとくに困るのがトイレの問題。駐車場所の近くにトイレがない場合もあるため、事前に対策を考えておくことが大切です。
携帯トイレや簡易トイレを準備しておくことで、安心して過ごせます。
トラブル対応と緊急時の備え
車中泊避難では、急な車両トラブルなどの予測できない事態に備えることも大切です。
緊急時に冷静な対応ができるよう、事前に必要な準備や情報収集を行い、安全を確保するための対策を講じておきましょう。
バッテリー上がり対策
車のバッテリーはエンジンをかけることで充電されます。
エンジンをかけずに照明やラジオを使い続けると充電が行われずに電力を消費し続けるため、バッテリー上がりを防ぐには電力の使用を抑えることが重要です。
主な対策として以下のポイントを確認しましょう。
☐ | 不要な照明はこまめに消す |
☐ | エアコンは必要なときだけ使う |
☐ | 携帯電話の充電は走行時やエンジン始動時に行う |
☐ | バッテリーの劣化確認 |
☐ | 予備電源としてポータブル電源を準備する |
燃料切れ時の対応
車中泊避難中に燃料が尽きた場合は、まず周囲の安全を確認し、必要であれば安全な避難場所への移動を検討しましょう。
低体温症や熱中症を防ぐために、ブランケットや寝袋で防寒対策を行い、暑いときはドアを開けて換気すると効果的です。
周囲に人がいる場合は状況に応じて助けを求めることも選択肢の1つです。
避難所との連携方法
車での避難を選択する場合、自治体や地域の人々に自分たちが車中泊をしていることを知らせることが大切です。
自分や家族の状況、健康状態を自治体や地域の人々に伝えることで必要な支援を受けやすくなります。
また、近くの避難所で車中泊をしている家族の情報を避難者名簿に登録することも重要です。
地域の人々に自分たちの存在を示すことが、今後の支援を受けるためのポイントになります。
まとめ
災害はいつ、どこで発生するかわかりません。自宅が損壊したり避難所が満員で入れないなどの理由で、車中泊を余儀なくされるケースも考えられます。
そのため、万が一に備えて車内にも防災グッズを準備しておきましょう。また、いざという時に長時間車で避難生活をする際の健康管理にも気を配ることが重要です。
本記事で紹介したアイテムのほかにも、家族構成やペットの有無、持病の有無などに応じて必要なものを見直し、事前に必要なリストを作成しておきましょう。