こんにちは!アイカーマガジン編集部です!
中古車選びで最も重要な工程が、実車確認です。写真やスペック表だけでは決して分からない、車両の「本当のコンディション」を見極める必要があります。
インターネット上の画像は、傷や汚れを目立たなく加工されていたり、照明できれいに見えていたりすることが少なくありません。実際に販売店へ足を運び、自分の目・耳・鼻を使って車両を確認することで、購入後のトラブルや想定外の出費を防げます。
この記事では、自動車業界のプロが必ずチェックするポイントを具体的に解説します。
車内の内装からわかる「前オーナーの扱い方」

第一章でも軽く触れましたが、車内は、前の所有者がその車とどのように付き合ってきたかが色濃く残る場所です。今回は具体的にどのような箇所をチェックしたらいいのかをお伝えします!
はじめに、外装は洗車や磨きで一時的にきれいに見せることができますが、内装の汚れや臭い、摩耗具合は長い時間をかけて蓄積されたものなので、簡単にはごまかせません。
また、内装の状態が良い車は、機関系(エンジンや足回り)のメンテナンスもしっかり行われている可能性が高いといえます。
「匂い」は必ずチェック!

車の匂いにも様々な種類があります。
まずは、ドアを開けて乗り込んだ瞬間の「匂い」を必ず確認してください。チェックして欲しい内容は以下のとおりです。
- 「芳香剤の強さ」は要注意: 香りがきつい車は、タバコやペット、カビ臭を無理やり隠しているケースが少なくありません。
- 「染み付き臭」は手強い: 特にタバコやペット臭は天井やシートに蓄積しやすく、購入後に専門業者がクリーニングしても完全除去は困難です。
- 「エアコンの作動確認」を忘れずに: 実際に風を出してカビ臭がしないかチェックしてください。内部の熱交換器(エバポレーター)が汚れていると、高額なメンテナンス費用が発生します。
ご自分の家族がその車で快適に過ごせるかどうか、しっかり確認してください。
シートとハンドルの「へたり」


走行距離が少ない車でも、シートの運転席側のサポート部分(乗り降りする際に擦れる右側の盛り上がり)が潰れていたり、ハンドルがテカテカに摩耗していたりする場合は要注意です。
シートやハンドルの過度な摩耗は、「短距離走行の繰り返し(ストップ&ゴーが多い)」や「配送などの業務使用」によって酷使されていた可能性があります。
走行距離数が低くても、実質的な稼働時間が長い車両かもしれません。
逆に、走行距離が多くても内装がパリッとしている車は、高速道路などの長距離移動がメインで、車両への負担が少ない優良物件である可能性があります。
外装の「わずかな違和感」を見逃さない
中古車である以上、多少の小傷は許容範囲とするのが一般的ですが、車の骨格に関わるような大きな事故(修復歴)の痕跡や、雑な板金・塗装の跡は見逃せません。
全体をなんとなく眺めるのではなく、特定のポイントに絞って観察することで、車両の過去が見えてきます。
パネルごとの「色の差」を確認する

晴れた日の屋外で見るのがベストですが、屋内の場合でも角度を変えながらボディ全体を見渡してください。隣り合うパネル(例:ドアとフェンダー、ボンネットとバンパーなど)で、塗装の色味が微妙に異なっていないか確認してください。
塗装の色味が違う場合、そのパネルだけが交換されているか、再塗装されている可能性が高いです。単なる擦り傷の補修であれば問題ありませんが、広範囲にわたって色が違う場合は、大きな事故を起こして修理した痕跡かもしれません。
特にメタリックやパール系の塗装は、新車時の色を完全に再現するのが難しいため、修理跡が見つかりやすいポイントです。
隙間(チリ)は均一か
ドア、ボンネット、トランクなどの開閉部分とボディ本体との隙間(業界用語で「チリ」と呼びます)を確認してください。通常、新車時の状態であれば、この隙間は左右均一で一定の幅に保たれています。
隙間の幅が上と下で違っていたり、右側と左側で極端に差があったりする場合は、ボディが歪んでいるか、パネルを脱着・交換した可能性があります。
指を隙間に沿って走らせてみると、段差の違いがわかりやすいです。特にボンネットやバックドアのチリが合っていない車は、正面衝突や追突事故の影響が残っている恐れがあるため、慎重な判断が求められます。
エンジンルームは「綺麗すぎ」にも注意
エンジンルームを開けて、メカニックのような専門知識がなくてもチェックできる項目があります。むしろ、素人目線での「違和感」がトラブル回避につながります。
販売店側もエンジンルームを見られることを想定しているため、過剰にきれいに見せていないかも含めて確認します。
オイル漏れと「清掃の跡」

エンジンルーム全体がピカピカに艶出しされている車には警戒が必要です。
高圧洗浄機とワックスで洗浄することで、エンジンオイルの漏れや滲みを一時的に洗い流して隠している可能性があるからです。
逆に、適度なホコリが乗っている状態の方が、ありのままの姿を確認できるため安心できる場合もあります。
エンジンのヘッドカバー周辺や下の方をライトで照らして覗き込み、黒く湿った油汚れがないか探してください。
新しいオイルのしずくや乾いていないシミがある場合は、オイル漏れが進行中です。修理にはパッキン交換などで数万円以上の出費が必要になることが多いです。
ボルトの頭の「塗装剥げ」
ボンネットやフェンダーを固定しているボルトを確認してください。
多くの車種では、製造ラインでボルトを締めた後にボディと一緒に塗装されるため、ボルトの頭もボディ色で塗られています。
もし、ボルトの角の塗装が剥げていたり、工具をかけた跡があったりする場合、その部品を取り外した、あるいは交換した証拠です。
フェンダーのボルトが回されているなら、フェンダー交換が必要なほどの衝撃(事故など)が加わった可能性があります。
単なる部品交換か、骨格にダメージが及ぶ事故修理の一環かを見極めるため、販売店のスタッフに「なぜここを外したのですか?」と質問してみてください。
タイヤの状態
タイヤは消耗品ですが、いざ交換するとなると数万〜十数万円の出費になります。もし溝が残っていない車だと、購入後すぐに交換が必要になり、結果的に「トータルコスト」が跳ね上がってしまいます。
また、タイヤの減り方(偏摩耗など)を見れば、足回りの整備状態が良好かどうかも判断できます。
製造年週を確認する

ゴムの劣化具合を確認する必要があるため、タイヤの溝が残っているからといって安心はできません。
タイヤの側面には、必ず製造年週が刻印されています(例:「2523」なら2023年の25週目製造)。
製造から5年以上経過しているタイヤは、溝があってもゴムが硬化しており、ひび割れのリスクやグリップ力の低下が懸念されます。特にスタッドレスタイヤの場合は、ゴムの鮮度が命です。

古いタイヤが装着されている場合、購入後の交換費用を予算に組み込むか、商談時の値引き交渉材料として活用してください。
「片減り」からアライメントの狂いを知る

タイヤの接地面を見て、内側だけ、または外側だけが極端に減っている「片減り(偏摩耗)」がないか確認してください。
タイヤが均一に減っていない場合、ホイールアライメント(タイヤの取り付け角度)が狂っている可能性が高いです。
アライメントの狂いは、縁石に強く乗り上げたり、事故の衝撃を受けたりすることで発生します。単にタイヤを新品に交換しても、またすぐに偏摩耗してしまいます。
アライメント調整には専用の設備と費用がかかるため、極端な片減りがある車両は、足回り全体に何らかの問題を抱えているリスクを考慮すべきです。
見逃せない下回りと足回りのチェックポイント
しゃがみ込んで車の下を覗き込む動作は、少し恥ずかしいかもしれませんが、プロは必ず行います。
普段見えない部分だからこそ、重大な欠陥が放置されているケースが多いからです。
サビは車の「ガン」

特に降雪地域で使用されていた車や、沿岸部を走っていた車は、融雪剤や潮風の影響で下回りが錆びていることがあります。
マフラーやサスペンションアームの表面が赤茶けている程度なら一般的な中古車でも見られますが、フレームやフロアパネルに腐食による穴が空いていたり、塗装が浮き上がってボロボロ剥がれてきたりしている場合は危険信号です。
ボディのサビは「車のガン」とも言われ、一度進行すると完全に止めることは難しく、板金修理費用も高額になります。強度が低下し、車検に通らない可能性もあります。
シャーシブラック(防錆塗装)が新しく塗られている場合も、サビを隠すために厚塗りしていないか注意深く観察してください。
サスペンションのオイル漏れ
可能であれば、タイヤの奥にあるショックアブソーバー(筒状の部品)を見て、この筒から油が漏れていたり、濡れてホコリがこびりついていたりしていないかを確認してみましょう。
ショックアブソーバーのオイル漏れは、部品の寿命を意味します。そのまま走行すると乗り心地が悪化するだけでなく、車検にも通りません。
交換には左右セットで数万円の費用がかかります。試乗ができる場合は、段差を乗り越えた際に「ゴトゴト」という異音がしないかも合わせて確認してください。
ハイブリッド車特有のチェック項目

現在、中古車市場には多くのハイブリッド車が流通しています。
エンジン車とは異なる、ハイブリッドシステム特有のチェックポイントを押さえておく必要があります。特に駆動用バッテリーの劣化は、燃費性能に直結し、交換費用も高額です。
駆動用バッテリーの状態を推測する
駆動用バッテリーの正確な残量を外見から知ることは難しいですが、試乗や電装品の動作から推測することは可能です。
試乗中にモニターのエネルギーフローを確認し、充電がすぐに満タンになるが、EV走行(モーターのみでの走行)をするとすぐに目盛りが減ってしまう場合、バッテリー容量が低下している可能性があります。
また、年式が古く、走行距離が多いハイブリッド車の場合、バッテリー交換歴があるかどうかを整備記録簿や販売店へのヒアリングで確認してください。
未交換の場合、近い将来に交換時期(車種によりますが15万円〜30万円程度)が来ることを覚悟しておく必要があります。
インバーターと冷却系の確認
ハイブリッドシステムの心臓部であるインバーター(電力変換装置)の冷却水リザーバータンクを確認してください。通常のエンジンの冷却水とは別に設置されています。
冷却水の量が規定値(FULLとLOWの間)にあるかを確認します。もし極端に減っている場合、システム内での漏れが疑われます。
また、ボンネットを開けたときに甘い独特の臭いがする場合も、冷却水漏れのサインです。ハイブリッドシステムの故障は修理費が高額になりがちなので、警告灯の点灯有無と合わせて念入りなチェックが必要です。
電子装備と安全機能の動作確認
近年の車は電子装備の塊です。
パワーウィンドウや電動ミラーだけでなく、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備も標準的になっています。
これらが正常に動作するかどうかは、実際に操作してみないと分かりません。
全てのスイッチを一度は押す

運転席に座ったら、触れるスイッチは全て操作してください。
- エアコン:冷房だけでなく暖房も最大風量で確認します。異音や異臭、風向きの切り替え不良がないかチェックします。
- パワーウィンドウ:全席の窓を一番下まで開け、一番上まで閉めます。スムーズに動くか、異音がしないかを確認します。
- 電動格納ミラー:開閉動作がスムーズか、左右で動きの速度に差がないか見ます。モーター故障は意外と多いトラブルです。
- カーナビ・オーディオ:タッチパネルの反応や、Bluetooth接続、スピーカーからの音割れがないかを確認します。
警告灯(チェックランプ)の挙動
エンジンスイッチをON(またはプッシュスタートを2回押し)にした際、メーターパネル内の全ての警告灯が点灯することを確認してください。そしてエンジン始動後、全ての警告灯が消えるのが正常です。
悪質なケースでは、不具合を隠すためにメーター裏の電球を抜いたり、配線を加工したりして、特定の警告灯(エンジンチェックランプやABSランプなど)が最初から点灯しないように細工している場合があります。
「点灯して、消える」というプロセスこそが、自己診断機能が正常に働いている証拠です。
整備記録簿で過去の点検やメンテナンスの履歴を確認する

車のグローブボックスに入っている「定期点検記録簿(メンテナンスノート)」は、その車の「履歴書」です。
どのような整備を受けてきたかを知ることで、前オーナーの使い方と、将来の故障のリスクを予測できます。
メンテナンスの「空白期間」がないか
記録簿の日付を見て、定期的に(1年または2年ごとに)点検を受けているか確認します。走行距離に対してオイル交換の頻度が適切かどうかも重要です。
数年間、全く記録がない「空白期間」がある車や、そもそも記録簿が紛失している車は、適切なメンテナンスを受けていなかった可能性があります。特にエンジンオイルや消耗品の交換履歴が不明な場合、購入後に大きな故障が発生するリスクが高まります。記録簿がしっかり残っている車は素性がはっきりしており、信頼性が高いといえます。
どこで整備されていたか
整備を実施した工場名にも注目してください。新車ディーラーで整備を受けていた車は、メーカー推奨の純正部品を使用し、的確なメンテナンスを受けている可能性が高いです。
一方、格安車検代行などで最低限の検査しか通していない車は、消耗品の交換が先送りされているケースがあります。前のオーナーが「維持費をかけて大切に乗っていたか」それとも「乗りっぱなしだったか」は、整備工場の種類や交換部品のリストから読み取ることができます。
試乗で実際に運転して確かめたいチェックポイント

可能であれば、必ず試乗を行ってください。店舗の敷地内を少し動かすだけでも、多くの情報が得られます。
見た目がきれいでも、走らせてみると違和感に気づくことがあります。
アイドリング時の振動と音
エンジンをかけ、停車している状態(Dレンジでブレーキを踏んでいる状態)での振動と音に集中します。ハンドルやシートに不快な振動が伝わってきませんか。
異常な振動がある場合、エンジンを支えているゴム部品(エンジンマウント)が劣化している可能性があります。
また、エンジンから「カチャカチャ」「キュルキュル」といった異音が聞こえる場合は、内部の部品摩耗やベルト類の劣化が疑われます。
シフトチェンジのショック

オートマチック車(AT)の場合、Dレンジに入れたときや、走行中にギアが切り替わるときに「ガクン」という大きな衝撃(シフトショック)がないか確認します。
CVT車の場合は、アクセルを踏んでも回転数だけ上がって速度がついてこない「滑り」がないかチェックします。
トランスミッションの不具合は、修理や載せ替えに数十万円規模の費用がかかる重大なトラブルです。加速がスムーズでない、変速時に違和感がある車は避けるのが賢明です。
直進安定性とブレーキ
直線道路でハンドルを軽く握った状態で、車が真っ直ぐ走るか確認します。
常にハンドルを修正しないと左や右に寄っていく車は、アライメントが狂っているか、事故によるフレームの歪みが影響している可能性があります。
ブレーキに関しては、踏んだ感触に違和感がないか、キーキーという鳴きがないか、そして車体がブレずに真っ直ぐ止まれるかを確認します。
ブレーキジャダー(ブレーキ時にハンドルやペダルがガタガタ震える現象)がある場合は、ブレーキローターの歪みが原因であり、部品交換が必要です。
まとめ
実車確認は、単なる「傷探し」ではありません。その車がこれまでどのような扱いを受け、現在どのような健康状態にあるかを総合的に診断する作業です。
プロのチェックポイントを参考にしながらも、最終的には「この車になら命を乗せても大丈夫か」「この車にお金を払って満足できるか」という直感も大切にしてください。少しでも不安や違和感を感じた場合は、遠慮なく販売店のスタッフに質問し、納得できる回答が得られないなら購入を見送る勇気も必要です。
中古車は一期一会ですが、焦って決める必要はありません。この記事で紹介したポイントを活用し、あなたにとって最良のパートナーとなる一台を見つけてくださいね。


