こんにちは!アイカーマガジン編集部です!
「車検に出している間の代車で、うっかり電柱に擦ってしまった」
「慣れない代車の運転で、駐車場で隣の車に接触してしまった」
こんな時、真っ先に頭をよぎるのは「この修理代、誰が払うの?」「自分の保険は使えるのか?」という不安ではないでしょうか。
結論から言えば、代車の修理費用は原則として「借りた人(運転していた人)」が負担します。
ただし、あなたが加入している自動車保険に「他車運転特約」が付帯されていれば、自分の保険を使って補償できる可能性が高いです。
しかし、無条件で保険が使えるわけではありません。「駐車中の事故は対象外」「翌年の保険料が大幅に上がる」といった落とし穴があります。
知識がないまま対応すると、数万円から数十万円の自己負担が発生しかねません。
本記事では、代車で事故を起こした際の費用負担のルール、保険を使うべきかの判断基準、そして絶対にやってはいけないNG行動について解説します。
事故発生時の「鉄則」と警察への通報義務

事故発生時の注意点として「バンパーを少し擦っただけだから、店に謝って修理代を払えばいいや」これは絶対にやってはいけない判断です。
代車であっても、事故対応の手順は自分の車と同じです。
初期対応を誤ると、本来使えるはずの保険が下りなくなるリスクがあるためです。
警察を呼ばないと「保険」という選択肢が消える
事故の大小にかかわらず、まずはじめに、必ず警察へ連絡してください。
保険を適用するには、自動車安全運転センターが発行する「交通事故証明書」が必要です。警察への届け出がないと「交通事故証明書」が発行されず、いざ高額な請求が来た時に保険会社に「事故の事実」を証明できません。
「店の敷地内でぶつけた」「相手がいない単独事故」であっても、警察への報告義務は道路交通法第72条で定められています。
「借り物だから穏便に済ませたい」という心理が働きがちですが、隠そうとするのが一番のリスクです。
貸出元への連絡は「正直」に
警察対応と同時に、車を借りているディーラー、整備工場、あるいはレンタカー会社へ連絡を入れます。
ここで確認すべきは以下の2点です。
- 車両の移動可否:自走して戻れるか、レッカーが必要か
- 相手側(店舗側)の保険加入状況:代車そのものにどのような保険がかかっているか
プロである店舗側の指示を仰ぐのが最もスムーズですが、修理先を勝手に決めたり、その場で示談交渉を始めたりするのは避けましょう。
修理代は「原則自己負担」。NOCも見落とし厳禁

車を借りている間、あなたには「善良な管理者の注意義務(善管注意義務)」が発生します。
簡単に言えば、「他人の物なんだから、自分の物以上に丁寧に扱って、元の状態で返してね」という法的な責任です。
なぜ「借りた人」が払うのか
民法上の使用貸借契約(または賃貸借契約)に基づき、借りた物に損害を与えた場合、借主は損害を賠償する責任を負います。
「古い代車だから少しくらい傷ついても…」というのは通用しません。どんなに古い車でも、修理が必要になればその実費を請求されます。
意外と痛い「NOC(休業補償)」の請求
修理代とは別に請求される可能性があるのが、NOC(ノン・オペレーション・チャージ)です。
これは「修理期間中、その車を他のお客さんに貸せなくなったことによる営業損失」への補償金です。
- レンタカーの場合:一般的によくある設定は、自走可能なら2万円、自走不可なら5万円。(※店舗やプランにより異なります)
- ディーラー・整備工場の場合:明確な規定がないことも多いですが、ビジネスとして代車運用をしている場合、同等の損失補償を求められるケースがあります。
修理代が保険でカバーできても、このNOCは「保険対象外」となり、現金での支払いを求められることが多々あります。
予算外の出費になりやすいため、覚悟が必要です。
「他車運転特約」が使える条件とリスク

ここで登場するのが、多くの任意保険に自動付帯されている「他車運転特約(他車運転危険補償特約)」です。
「他車運転特約」とは、「他人の車を借りて運転中に事故を起こした際、自分の車の保険契約内容を適用できる」というもの。
つまり、代車を「自分の車」とみなして、自分の保険から対人・対物・車両保険を支払うことができます。ただし、万能ではありません。ここが最も重要なポイントです。
注意点1:車両保険に入っていないと修理代は出ない
この特約は、あくまで「自分の保険内容」を準用します。
もし、あなたの契約が「対人・対物のみ」で車両保険に入っていなければ、代車の修理代も出ません(相手への補償は出ます)。
また、自分の車両保険が「エコノミー型(車対車+A)」の場合、自損事故(電柱への衝突など)では代車の修理代が補償されないケースが一般的です。
注意点2:「駐車中」の事故は対象外の可能性大
ここが最大の落とし穴です。
多くの保険会社の約款において、他車運転特約は「運転中の事故」に限定されています。
- 対象:信号待ち、一時停止中、走行中の衝突
- 対象外:コンビニで駐車して買い物中に当て逃げされた、エンジンを切って車を離れている間に何かが起きた
「スーパーで買い物をして戻ってきたら、代車が凹んでいた」というケースでは、特約が使えない可能性が極めて高く、全額自己負担となる恐れがあります。(※保険会社により規定が異なるため、約款の確認が必要です)
注意点3:翌年の保険料が上がる(3等級ダウン)
「保険で直せるなら安心」と安易に使ってはいけません。
他車運転特約を使うと、自分の車で事故を起こした時と同様に「3等級ダウン」の扱いになります。
翌年以降の保険料が数万円単位で上がり、それが3年間続きます。
- 修理代が5万円の場合:保険を使わず自費で払った方が、トータルの出費(翌年以降の保険料増額分)より安く済む可能性が高い。
- 修理代が30万円の場合:保険を使った方が経済的メリットがある。
この損益分岐点は、「現在の等級」や「年齢条件」によって変わります。
事故報告をする際に、保険会社の担当者に「保険を使った場合と使わなかった場合の差額」をシミュレーションしてもらうのが賢明です。
借りた先で違う?ディーラー代車とレンタカー

「どこから借りた車か」によっても、費用の考え方が少し変わります。
ディーラー・整備工場の代車の場合
ディーラーなどが所有する代車には、店舗側で任意保険がかけられていることがほとんどです。しかし、その補償内容は最低限(対人・対物のみで車両保険なし)であることも少なくありません。
また、「お客様の過失による事故は、原則お客様の保険(他車運転特約)を優先して使ってください」という誓約書にサインしているケースが多いです。
店舗側の保険を使える場合でも、免責金額(自己負担額)が5万円〜10万円に設定されていることがあり、その分は支払う必要があります。
レンタカーの場合
レンタカー料金には基本的な保険料が含まれていますが、事故時には「免責額(5万円など)」と「NOC」の支払いが発生します。
借りる時に「免責補償制度(CDW)」などの追加オプションに入っていれば、免責額の支払いは免除されます。しかし、ここでもNOCは別枠であることが多いため注意が必要です。
レンタカーで事故を起こした場合は、自分の保険の他車運転特約を使うよりも、レンタカー会社の保険制度内で処理した方が(自分の等級を守れるため)有利な場合もあります。
まずはレンタカー会社の契約内容を確認しましょう。
修理代を巡るトラブルを防ぐために
事故は起きてしまってからでは遅いですが、トラブルを最小限にするための自衛策はあります。
借りる前の「傷チェック」は入念に
返却時に「ここの傷、あなたがつけましたよね?」と言われないために、借りる段階で店舗スタッフと一緒に車体をチェックしましょう。
スマホで元々ある傷を撮影しておくと、強力な証拠になります。特にバンパーの四隅やホイールのガリ傷は見落としがちです。
念書・契約書の中身を見る
「とりあえずここにサインして」と言われて適当に書きがちですが、そこに「事故時の免責金額」「保険適用の優先順位」が書かれています。
もし「いかなる場合も修理費は全額借主負担」といった極端に不利な条項がある場合は、事前に内容について質問するか、その代車を借りるのを避ける判断も必要です。
まとめ
代車での事故は、自分の車での事故以上に「他人の物」というプレッシャーがかかります。
しかし、仕組みさえ理解していれば、過度なパニックに陥る必要はありません。
- 即座に警察へ連絡(事故証明がないと何も始まらない)
- 店舗へ正直に報告
- 自分の保険証券を確認(他車運転特約の有無、車両保険のタイプ)
- 修理費見積もり vs 保険料アップ額を比較
まずは冷静に、警察と保険会社へ連絡を入れることから始めてください。
数万円の修理費を惜しんで報告を怠った結果、数十万円の負担を抱え込むことだけは避けましょう。
よくある質問(FAQ)

Q. 代車での事故に自分の自動車保険は使えますか?
A. はい、ご自身の保険に「他車運転特約」が付帯されており、かつ適用条件(運転中の事故など)を満たしていれば使えます。
ただし、ご自身の契約に車両保険が含まれていない場合、代車の修理費用は出ないため注意が必要です。
Q. 店舗の保険と自分の保険、どちらを先に使うべきですか?
A. まずは貸出元の店舗に確認してください。
店舗側の保険が使える場合でも、免責金額や等級への影響を考慮し、店舗側から「お客様の保険(他車運転特約)を使ってほしい」と依頼されるケースが一般的です。
レンタカーの場合は、レンタカー会社の補償制度を優先する方が自己負担が少ない場合が多いです。
Q. 自分の保険を使うと来年の保険料は上がりますか?
A. はい、上がります。
他車運転特約を使って保険金を請求すると、原則として「3等級ダウン事故」扱いとなります。
翌年度から3年間は保険料が高くなるため、修理代が少額であれば、保険を使わずに自費で支払う方がトータルの出費を抑えられる可能性があります。
Q. 「代車費用特約」は代車の修理代に使えますか?
A. いいえ、使えません。
「代車費用特約(レンタカー費用特約)」は、自分の車が事故や故障で使えなくなった時に、代わりとなる車のレンタル費用を補償するものです。
代車そのものが壊れた時の修理代を出すものではありません。混同しやすいので注意してください。


