今回の新旧モデル比較は三菱 デリカ:D5ですが、2007年にデビューしたデリカ:D5の旧モデルとなるのは1994年~2007年に発売された「デリカスターワゴン」となってしまい、比較するには古すぎます。そこで、2019年2月に12年振りにビックマイナーチェンジされた現行モデルと、それ以前を旧モデルとして比較することにしました。
マイナーチェンジ前(2007年~)
三菱の当時の他モデルであるアウトランダー、RVR、エクリプスクロスなどの主力と共通のプラットフォームを採用しながらも、オフロードを走行できる剛性を得るため、同プラットフォームに、環状型の骨格構造 「リブボーンフレーム」と、アンダーボディに大型の剛性補強部品であるクロスメンバーによって、低床設計と高強度を確保しています。エンジンにはガソリンの2.4Lと2.0Lに加え、2.2Lのクリーンディーゼルを設定。発売当初は全車四輪駆動システムには電子制御4WDを採用し、タイヤは大径「マッド&スノー」ていました。その後、2WDモデルの「C2」と、これをベースとしたエアログレード「デリカ D:5 ローデスト」が発売されます。
そして、毎年のようにマイナーチェンジや年次改良を繰り返し、フルモデルチェンジの予想を覆して2019年2月、12年振りにビックマイナーチェンジを行いました。
マイナーチェンジ後(2019年2月~)
新型モデルに移行したのはディーゼル車のみで、ガソリン車については、装備内容が見直されたのみとなります。変更内容は以下の通りです。
フロントデザインにはコンセプト「ダイナミックシールド」が採用され、ヘッドライトは縦型形状LEDマルチとなり、LEDポジションランプも搭載。また、リアコンビネーションランプはテールランプを外側まで光らせるデザインに変更されています。インテリアでは、インストルメントパネルのデザインが一新され、水平基調をベースに立体木目を採用。シート生地はエンボスを施した幾何学柄になり、メーカーオプションの本革シートはダイヤキルティングとなりました。
また、衝突被害軽減ブレーキシステム、車線逸脱警報システム、レーダークルーズコントロールシステム、オートマチックハイビーム、後側方車両検知警報システム、後退時車両検知警報システムで構成された予防安全技術「e-アシスト」が採用され、一部グレードに標準装備又はメーカーオプション設定されます。
①車線逸脱警報システム | 前方の車線位置を監視。車線を外れそうになると警報でドライバーに注意を促す。 |
②レーダークルーズコントロールシステム | 先行車の加速・減速・停止に追従走行。設定した車間距離を保ちながら走行。 |
③衝突被害軽減ブレーキシステム | 衝突の危険性があると判断したときに作動。衝突が避けられないと判断した場合は、衝突被害を軽減。 |
④オートマチックハイビーム | 状況に合わせて、自動的にハイビームとロービームを切り替え。遠方視認性を向上し、操作の煩わしさを軽減。 |
⑤後側方車両検知警報システム | 斜め後方・隣レーン後方からの接近車両を検知。ドアミラーインジケーターの点灯で存在を告知。 |
さらに、車速感応オートドアロックも全車標準装備され、電動スライドドアとエレクトリックテールゲートにはクローズ&ロック機構を採用。ディーラーオプションにはオリジナル10.1型ナビゲーションが設定されています。
2.2Lのディーゼルエンジンは、型式は変わらないものの、尿素SCRシステムを採用するなど主要機構部品の約5割が改良されています。
そして、新たに設定された「URBAN GEAR(アーバンギア)」は外観に専用のフロントメッキグリルやフロントバンパーを採用するなど、これまでにないD:5の上級モデルとなっています。
まとめ
12年振りの大改良を行ったということで、まだまだ販売していくことを示した現行D:5。メーカーの台所事情ということもありますが、ミニバンでありながらも本格オフローダーであるという独特のポジションに、ライバルが存在していないことも要因として挙げられます。この唯一無二の存在であるD:5はけっしてマニアックな車種ではなく、その証拠に5月度の販売実績ではマツダCX-8、ホンダオデッセイを上回る1,500台を売り上げ、三菱ではアウトランダーやエクリプスクロスよりも「売れている車種」なのです。