こんにちは!アイカーマガジン編集部です!
車を所有している人は定期的に点検を行い、車両を安全に運用できるよう管理する義務があります。
自家用車の場合は、法定点検として「12ヶ月(1年点検)」と「24ヶ月点検」そして「車検」が法令により実施が義務付けられています。
中でも、12ヶ月点検は24ヶ月点検や車検よりも短い間隔で実施するため、車両の不具合を発見しやすく、適切なメンテナンスを施すことで車を長持ちさせることができます。
本記事では、車を使用する上で欠かせないメンテナンスの1つである12ヶ月点検について詳しく解説します。
その他の点検との違いも説明しますので、ぜひ確認してください。
車の12ヶ月点検は法定点検
12ヶ月点検は、車両を安全に運行できる状態に保つために設けられた点検です。
国土交通省の道路運送車両法に基づいて行われる法定点検の一つで、車検と同様に車を所有する者の義務となっています。
道路運送車両法とは?
道路運送車両 第四十八条
自動車(小型特殊自動車を除く。以下この項、次条第一項及び第五十四条第四項において同じ。)の使用者は、次の各号に掲げる自動車について、それぞれ当該各号に掲げる期間ごとに、点検の時期及び自動車の種別、用途等に応じ国土交通省令で定める技術上の基準により自動車を点検しなければならない。
参照:e-GOV「道路運送車両法第四十八条」
12ヶ月点検では以下の26の項目について確認をします。(該当する項目がない車両については、点検はしません)
作業項目 | |
---|---|
1 | パワーステアリングのベルトの遊び、キズ |
2 | ブレーキペダルの遊び量と踏み込んだときの床とのすき間 |
3 | ブレーキ効き具合 |
4 | サイドブレーキの遊び量と効きしろ |
5 | サイドブレーキの効き具合 |
6 | ブレーキホースやパイプ漏れ、破損、取付状態 |
7 | マスタシリンダやホイールシリンダ、ディスクキャリパの液漏れ |
8 | ブレーキドラムとライニングとのすき間 |
9 | ブレーキシューの摺動部分とライニングの摩耗 |
10 | ブレーキディスクとブレーキパッドとのすき間 |
11 | ブレーキパッドの摩耗 |
12 | タイヤのキズ、亀裂、溝の深さ、異常摩耗など |
13 | ホイールナットもしくはホイールボルトの緩み |
14 | クラッチペダルの遊びと切れたときの床とのすき間 |
15 | トランスミッションの油漏れと油量 |
16 | ドライブシャフト連結部の緩み |
17 | スパークリングプラグの状態 |
18 | 点火時期 |
19 | ディストリビューターのキャップの状態 |
20 | バッテリーターミナル部の緩み、腐食 |
21 | 排気ガスの色、CO、HCの濃度 |
22 | エアクリーナエレメントの状態(汚れ、損傷など) |
23 | エンジンの油漏れ |
24 | ファンベルトのゆるみと損傷 |
25 | 冷却装置の水漏れ |
26 | マフラーの取付けのゆるみと損傷 |
なお、12ヶ月点検は法令に基づいた点検ですが、行わなくても罰則はありません。しかし、車の安全を保つためには欠かせません。
12ヶ月点検を終えるとステッカーが貼られる
12ヶ月点検を終えると、フロントガラスの左上(左ハンドルの場合は右上)に丸いステッカーが貼られます。形状が昔の黒電話のダイヤルに似ていることから「ダイヤルステッカー」とも呼ばれています。
ステッカーの表側(外側)には、次回の12ヶ月点検を実施するべき年と月が示され、裏側(内側)には今回の12ヶ月点検を実施した日付やその工場などの情報が記載されています。
この12ヶ月点検のステッカーの貼り付けは義務ではないため、フロントガラスに貼らないでも問題はありませんが、しっかり法定点検を済ませた証として、また、次回の点検日を忘れないようにするためにも貼り付けておくことをおすすめします。
なお、フロントガラスに四角いステッカーも貼られていますが、こちらは車検のステッカーです。車検のステッカーは貼り付けが義務付けされているので、剥さないようにご注意ください。
24ヶ月点検や車検との違い
道路運送車両法では、12ヶ月点検と並んで「24ヶ月点検」や「車検」を法定点検として定めていますが、その違いについて整理しておきましょう。
項目 |
目的 |
受けないことでの罰則 |
12ヶ月点検 |
車が安全に走れるように点検、整備する |
なし |
24ヶ月点検 |
||
車検 |
保安基準に適合しているかどうか確認する |
違反点数(6点) |
6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金 |
||
免許停止 |
24ヶ月点検とは?
24ヶ月点検は、その名前の通り2年間毎に行う点検です。
12ヶ月点検に加えて、さらに30項目増えた合計56項目についてチェックを行います。
24ヶ月点検も実施をしないことに対しての罰則はありませんが、上記のとおり12ヶ月点検ではチェックしない部分も点検するため、安全なカーライフのために受けるようにしましょう。
車検とは?
車検は、正式には「自動車検査登録制度」といい、乗用車は2年に1度(新車の場合、初回は3年目)受ける必要があります。新車の場合、初回は納車後3年目となっています。
車検は「車が保安基準に適合しているか確かめる」ための検査です。
12ヶ月点検と24ヶ月点検が「車が安全に走ることができるよう点検し、必要に応じて整備する」ことに対し、車検は「あくまでも検査を受けた時点で、車の安全性や環境性能が保安基準に適合しているか確認する」ところに違いがあります。
また、車検は12ヶ月点検や24ヶ月点検と違い、期間内に実施をしていない場合には厳しい罰則が適用されます。罰則は、違反点数として6点が加点されることに加え、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。
また、行政処分もあり、免許停止となってしまいます。
車検のステッカーは、2023年7月から運転席側(右上あたり)へと貼り付ける位置が変更となりました。
12ヶ月点検を行うメリット
先にも説明したとおり、12ヶ月点検は法令で定められた検査ではあるものの、実施していなくても罰則はありません。
しかし、自動車を所有する者としての義務であり、当然に実施するべきメンテナンスです。それだけでなく、12ヶ月点検を行うことでしっかりとしたメリットを受けることもできます。
ここでは、12ヶ月点検を実施することのメリットを3つ紹介します。
安全性の向上
12ヶ月点検を行うことで、ブレーキやステアリング、タイヤなどの状態を確認し、問題があるものは早期に修理・交換することができます。
こうした重要な部品のメンテナンスを行うことで、事故のリスクを減少させ安全に車を運転することができます。
事故を未然に防げることが、12ヶ月点検を受ける最大のメリットです。
部品交換の際に一度に負担する金額を減らすことができる
定期的に点検を行い、交換が必要な部品をあらかじめ交換しておくことで、車検時の費用を抑えることができます。
12ヶ月点検をしていない場合では、2年に1度の24ヶ月点検や車検で部品を交換することになるため、一度にまとまった資金が必要となります。
車の部品交換は決して安い出費ではないので、分散させることができれば経済的な負担を軽くすることができます。
タイヤ交換を一緒にできる可能性がある
タイヤは、一定期間使用して消耗すると交換をしなければなりません。さらに雪国では、冬はスタッドレスタイヤ、春はノーマルタイヤへ交換することが必須です。
タイヤ交換は業者に依頼すると、1本1,000円程度の費用が発生してしまいます。
しかし、12ヶ月点検ではブレーキ関連を点検し、点検の過程でタイヤを取り外すので、その際のタイヤ交換であれば無料で対応してくれるお店が多いです。
あくまでも車の12ヶ月点検の時期(つまりは車の購入時期)が、季節の変わり目であることなどの前提条件はあるものの、2〜5千円程の費用が節約できる可能性があるのは嬉しいですね。
売却時に有利になる場合も
定期的な点検を実施することで、しなかった場合と比較して車を売却する際の価値を高くすることができます。12ヶ月点検などの法定点検はその履歴が記録として残ります。
売却時に記録簿で点検を適切に実施していたことを証明できれば、車の状態が確認しやすくなり、結果的に査定が有利になります。
12ヶ月点検を受けられる場所
ここまで確認したとおり、12ヶ月点検は車を所有する者としての義務であり、車を安全に走行させるために大切なメンテナンスです。
では、12ヶ月点検はどこで受けることができるのでしょうか。また、自分で行うことができれば、費用をかけずに済みますが、12ヶ月点検を自分で行うことは可能なのでしょうか。
自分でもできるが、プロに頼むのがおすすめ
結論、12ヶ月点検を自分で行うことは可能ですが、専門業者に依頼することをおすすめします。
12ヶ月点検を行うには、車の構造についてある程度の知識が求められることに加え、車体をジャッキアップする設備や、専用のスキャンツールが必要になる場合もあり、決して簡単にできる作業とは言えないからです。
そのため、自動車整備士などの資格、経験がない方はプロに依頼をする方がよいでしょう。
12ヶ月点検は、車を購入した販売店で行ってもらうことが一般的ですが、それ以外のお店でも対応してくれます。大切な車のことなので、信頼できるお店で点検をお願いしましょう。
12ヶ月点検を依頼できるお店
12ヶ月点検を受けられる店を紹介します。
・車を購入した販売店
車を購入したお店に連絡するのが、もっとも一般的で確実な方法です。商談の際に対応してくれたスタッフの印象が良ければ、依頼しやすいというメリットもあります。
特に新車販売(正規ディーラー)の場合だと、そのメーカーの基準に基づいた点検と整備を行ってくれるため、信頼性が高いといえます。
一方で、その車に適した技術・純正部品を用いるために工賃や部品代が高くなりがちな側面もありますので、費用をかけたくない方は他の選択肢も検討するとよいでしょう。
中古車の場合も、購入した販売店であれば保証や優遇を受けられることが多いため、特に不満がなければ購入先のお店に問い合わせることをおすすめします。
・車検専門業者
車検専門業者は車検の専門店というイメージがありますが、法定点検も請け負っています。
多くのお店が費用の安さや早さを打ち出しているので、費用を抑えたい方は検討してみてください。
・整備工場
整備工場も車の点検や整備、修理などを請け負っています。
正規ディーラーよりも工賃や部品代が安いことが一般的ですが、技術力は高く、信頼できる候補先の一つです。
整備工場によっては作業風景を見られる場所もあります。
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・カー用品店
大手のカー用品店も併設した施設を持っていることが多く、12ヶ月点検を依頼することが可能です。
街中でも比較的見つけやすいというメリットもあります。また、作業を待っている間にカー用品を見て過ごすこともできるので、退屈せずに過ごせるでしょう。
・ガソリンスタンド
多くのガソリンスタンドでも12ヶ月点検を受けることができます。
普段決まったガソリンスタンドを使っている場合には、そちらで予約すればスムーズに点検を終えることができるでしょう。
費用も正規ディーラーよりも安いことが大半です。ただし、部品を交換する場合には在庫がない場合が多いので、取り寄せていると時間を要することがあります。そのときは再び来店することになります。
12ヶ月点検の費用と時間
12ヶ月点検は販売店や整備工場だけでなく、カー用品店やガソリンスタンドでも受けられることが分かりました。
最後に、費用と期間の目安について確認しましょう。
12ヶ月点検の費用はどのくらい?
費用は点検を受けるお店や車種によって異なりますが、概ね 6,000円〜15,000円が相場となっています。
車検と異なり、税金などの法定費用はかかりませんが、オイル交換やワイパーゴムなどの消耗品の交換が発生する場合には、その分の追加料金がかかります。
また、先にも記載したとおり、正規ディーラーで点検を受けると純正部品やメーカー独自のメンテナンスを提供される代わりに、他と比べて費用が高くつく傾向にあります。
メンテナンスパックなどのサービスを契約しておけば、費用を抑えることができますので、上手く活用してください。
点検時間はどのくらい?
12ヶ月点検では26ヶ所もの項目について点検を行いますので、完了までにはある程度の時間がかかります。お店の込み具合や不具合箇所にもよりますが、数時間〜半日かかることもあるため、余裕を持って点検に行きましょう。
基本的にはその日のうちに完了することが大半ですが、部品交換などが発生した場合は日にちを跨ぐこともあります。その場合、お店によっては代車の貸し出しもあるので事前に確認しておきましょう。
まとめ
12ヶ月点検は車を安心、安全に利用するために義務付けられた法定点検です。
点検を通じてしっかりとしたメンテナンスを受けることで、安全性が増すだけでなく、大切な車に長く乗り続けることにも繋がります。
ぜひ本記事を参考に愛車の12ヶ月点検の時期を確認して、信頼のできるお店で点検を受けてください。