リコール対象車って買取依頼(売却)できる?

リコール対象車って買取依頼(売却)できる?

こんにちは、アイカーマガジン編集部です。

リコール対象車に乗っていると、「このまま運転していて大丈夫かな」「ローンが残っているけれど、売却時に損をしないだろうか」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

また、「リコール対象だけど、あの車を購入したい」と考える場合もあるでしょう。

この記事では、リコール対象車でも買取や売却が可能なのか、査定や売却時にどのような影響があるのかなど、気になる点を詳しく解説します。

目次

リコールとは?

リコールとは、車の設計や製造の段階で見つかった不具合について、メーカーが国土交通省に届け出をして、対象となる車の持ち主に無償で修理や部品交換を案内する制度です。

新車・中古車に関係なく、すべてのオーナーが対象となり、通知は郵送や電話、メーカーや国交省のウェブサイトなどを通じて届きます。リコールは、事故やトラブルを未然に防ぎ、安心して車に乗り続けてもらうための大切な仕組みです。

なぜリコールが発生する?

最近の車は、電子部品やコンピューターが多く使用されていて、とても複雑になっています。そのため、一つの部品に不具合があると、複数の車種や多くの台数に影響が広がりやすくなります。

また、日本のメーカーは世界中で車を販売しているので、海外で起きたリコールが日本国内の車にも関係してくることも増えています。このような理由から、リコールの件数や対象となる車の台数は年々増えている傾向にあります。

どうやってリコールに至る?

リコールに至るまでには、さまざまなきっかけがあります。

たとえば、車を使っている方が「ちょっとおかしいな」と感じて、ディーラーやメーカーに相談し、こうした声が何件も集まったり、大きな事故やトラブルにつながった場合、メーカーが詳しく調べることになります。

また、国土交通省などの行政や、メーカー自身のチェックで不具合が見つかる場合もあります。ユーザーからの声や、行政の見守りがリコールの大きなきっかけになることも多いのです。

最近では、インターネットやSNSでユーザー同士が情報を共有しやすくなり、同じようなトラブルがたくさん起きていることが早く分かるようになっているため、メーカーや行政も早めに対応しやすくなっています。さらに、社内からの告発やコンプライアンス意識の高まりもあり、企業が不具合を隠しにくくなっています。

もし「自分の車、ちょっと気になるな」と感じたら、国土交通省が設けている「自動車不具合情報ホットライン」に相談してみましょう。

「改善対策」「サービスキャンペーン」との違いは?

リコールは、車の安全や環境に関わる大きな不具合(ブレーキやエアバッグなど、放っておくと事故やトラブルにつながる可能性があるもの)が見つかったときに行われるものです。

リコールに関連する「改善対策」と「サービスキャンペーン」は、いずれも自動車メーカーが無償で修理や点検を行う制度ですが、内容や重要度が異なります。

区分重大性・義務放置時の影響車検への影響
リコール最も高い重大事故や法令違反の恐れ通らない場合あり
改善対策中程度安全・環境面でリスクが残る通る
サービスキャンペーン低い品質・快適性の低下通る

改善対策とは?

「改善対策」は、「すぐに危険があるわけではないけれど、使い続けると不具合が起きるかもしれない」場合に行われます。

道路運送車両の保安基準には違反していないが、放置すると事故や環境悪化のリスクがあると判断された場合に、メーカーが国土交通省へ届け出て必要な修理や部品交換を無償で実施します。

(例)排ガス装置の不具合や、走行に直接関わらないが安全面で懸念がある部品の不具合など

サービスキャンペーンとは?

「サービスキャンペーン」は、「法律で決められているわけではありませんが、より快適に車を使ってもらうためにメーカーが自主的に行う無料の点検や部品交換」を指します。

国土交通省への正式な「リコール」や「改善対策」の届け出は不要ですが、ユーザーへの通知や案内が行われます。

(例)エアコンの効きが悪い、内装部品のきしみ音など、放置しても重大な事故にはつながらないが、快適性や品質に関わる不具合

最近のリコール対象車は?

最近のリコール車種はどういったものがあるのでしょうか。

ここでは、実際に2024年6月以降に発表された主なリコール車種をご紹介します。

【2024年6月】パノラミックビュー/バックガイドモニターのカメラ防水不良

  • 2024年6月14日届出(届出番号:5497〜8)
  • 規模:約90万台

カメラケースの接合部で防水性が不十分なため、雨水が浸入し回路が腐食、映像が映らなくなる不具合が発生。対象車両はカメラを良品に交換するリコール対応となりました。

この不具合により、カメラ映像が映らなくなり車両周囲の安全確認ができず、駐車や後退時の事故リスクが高まる恐れがあります。

メーカー車種名
トヨタノア、ヴォクシー、プリウス、シエンタ、カローラツーリング、クラウン、ミライ、bZ4X、カローラスポーツ、カローラ、カローラクロス、カローラアクシオ、カローラフィールダー、アクア、ヤリス、ヤリスクロス、GRヤリス、ハリアー、RAV4、C-HR、アルファード、ヴェルファイア
レクサスRX、NX、UX、LS、ES、LX、RZ

【2024年12月】フロントサスペンションのバネ塗装不良による腐食・折損

  • 2024年12月5日届出(届出番号:5592)
  • 規模:約19万台

フロントサスペンションのコイルスプリングで塗装の密着性が不足し、腐食が進行して破損する可能性が判明しました。全車両で無償交換のリコールが実施されます。

スプリングが折損するとタイヤへの干渉やパンク、最悪の場合は走行不能や事故につながるリスクがあります。

メーカー車種名
ダイハツムーヴキャンバス、ハイゼット、ハイゼットデッキバン
スバルサンバー、サンバーオープンデッキ
トヨタピクシスバン

【2025年1月】オルタネーター、ボンネットモールディング等の不具合

  • 2025年1月22日届出(届出番号:5602)
  • 規模:約43万台

オルタネータープーリの形状不良やボンネットモールディングの取付構造不適切により、発電不良やモールディング脱落の恐れがあることが判明しました。該当部品の交換や補強が行われます。

発電不良によるエンジン停止や電装品の作動不良、モールディング脱落による他車や歩行者への危険が懸念されます。

メーカー車種名
トヨタアルファード、ヴェルファイア

【2025年6月】キャニスタ(燃料蒸発ガス抑止装置)の不具合

  • 2025年6月6日届出(届出番号:5492)
  • 規模:約3,300台

キャニスタケースの形状不良や活性炭充填量不足により、燃料蒸発ガス抑止性能が低下し、保安基準に適合しない恐れが判明しました。該当部品は無償で交換されます。

この不具合により有害ガスの排出量が増え、環境基準違反や車検不合格、環境負荷増大のリスクがあります。

メーカー車種名
スズキエスクード

【2025年6月】ブレーキマスターシリンダーのピストン形状不適切によるブレーキ装置の不具合

  • 2025年6月12日届出(届出番号:5663)
  • 規模:約41,000台

ブレーキマスターシリンダーのピストン形状が不適切なため、ブレーキオートホールドやヒルスタートアシスト解除時にピストンが正しい位置に戻らず、ブレーキが引きずる場合があることが判明しました。全車両で対策品へ交換されます。

この不具合により、意図しない減速や突然の加速が発生し、重大事故につながる可能性があります。

メーカー車種名
三菱eKクロスEV
日産サクラ

リコール対象車は売却できる?

リコール修理が済んでいない場合でも、買取業者が引き取ったあとでメーカーによる無償修理を受けることが多いため、売却や買取は問題なく行えます。

中古車市場ではリコール対象車も一般的に取引されており、特別な制限はありません。

ただし、リコール修理を事前に済ませておくと、査定時の印象が良くなる場合があります。

リコール対象車は買取査定に響く?

先述した通り、多くの買取業者は、買い取った後に自社で無償修理ができるため、リコールが直接的に査定額を下げる要因になるケースは少ないです。

減額されるケースの一例
ただし、リコール修理を放置していると「整備不良」と判断されることがあり、業者や車種によっては数万円単位で査定額が下がることもあります。特にエンジンやブレーキなど安全性に関わるリコールの場合は、減額幅が大きくなる傾向があります。

安全にも関わることですので、どちらにしても事前に修理を済ませておくことをおすすめします。


なお、リコール対象車かどうかに関わらず、買取店ごとに査定額が異なる点にも注意が必要です。

リコール修理の流れ

ディーラーでのリコール修理は、事前予約が必須です。

リコール通知が届いたら、まずディーラーに電話やオンラインで予約を入れましょう。

修理にかかる時間はリコール内容によって異なりますが、短いもので30分〜1時間程度、長い場合は数時間から1日、部品の取り寄せや大規模な作業が必要な場合は数日かかることもあります。

予約時に「作業時間の目安」を聞いておくと安心でしょう。また、リコール発表直後や大規模リコール時は予約が混み合うため、できるだけ早めに予約を取ることをおすすめします。

修理中に車が使えない場合は、代車の有無も事前に確認しておきましょう。

リコール修理後に受け取るものは?

「修理明細書」や「納品書」

ディーラーでリコール修理を受けた場合、「修理明細書」や「納品書」など、作業内容や部品名が記載された書類が発行されます。こちらがリコール修理済みの証明となります。

修理明細書や納品書を紛失した場合は、修理を受けたディーラーに問い合わせれば再発行や修理履歴の確認が可能です。

「リコール通知書」

「リコール通知書」とは、メーカーやディーラーがリコール対象車の所有者に送付する正式な案内文書です。この通知書にはリコールの内容や修理方法、修理の予約方法などが記載されています。

なお、「リコールステッカー」というリコール修理済みの車両にメーカーが貼付していた識別用のシールは、2020年11月以降は廃止されており、現在は発行されていません。

リコール修理済みかわからないときは?

「中古車購入時」や「リコールの通知が来ていない」など、ご自身で所有している車でも「修理済み」であるかわからないときもあります。

大抵販売店が把握しているかと思いますが、それでもわからない時は、以下の方法を試してください。

メーカーやディーラーから郵便物や電話が来ているか

リコール対象になると、メーカーやディーラーから案内のハガキや電話連絡が届きます。

通通知が届いていれば、その内容に従いましょう。

サイトで車台番号を入力して検索

自動車メーカーの公式サイトや国土交通省の公式サイトには、車台番号(車検証に記載)を入力するだけで、その車がリコール対象かどうか、また修理が済んでいるかを調べられる検索ページがあります。

画像出典:車両リコール状況確認|日本自動車整備振興会連合会

なお、車検証に記載されている「型式」や「車台番号」があれば、ディーラーでもすぐに調べてもらえます。

リコール対象車の売却・購入時の注意点は?

リコール対象車を、安心して取引するためにはいくつかのポイントを押さえておく必要があります。

売却時

まず、先述した通り、売却する際はリコール修理を済ませておくことで査定額や相手の印象が良くなります。

未修理のままでも売却はできますが、「整備への意識が低い」とみなされて査定が下がることがあるため、修理記録や整備記録簿があれば用意しておくと安心です。

購入時

「リコール対象車を購入する時」にはその車がリコール対応済みかどうかを必ず販売店に確認しましょう。

仮にリコール修理が未対応の場合は、購入後に自分でディーラーに持ち込めば無償で修理を受けられます。

また、名義変更をきちんと行い、所有者情報を更新しておかないと、今後のリコール通知が届かなくなるため注意が必要です。


リコール修理を怠ると安全性や車検、将来的な修理費用にも影響が出る可能性があります。売却・購入いずれの場合も、リコール修理の有無を必ず確認し、安心して取引できるようにしましょう。

逆にリコール対象車は安く買える?

リコールが発表された車両はメーカーによって無償修理が可能なので、必ずしもリコールが理由で特別に安く購入できるわけではありません。リコール自体が中古車の価格に大きな影響を与えるケースは少ないのが現状です。

ただし、リコールによるイメージダウンでその車種の人気が下がった場合や、メーカー全体の信頼性が低下した場合には、市場での需要が減少し、結果的に価格下がることもあります。

つまり、「リコール対象だから安い」という単純な図式ではなく、年式や走行距離、車種の人気など他の要素と同様に、リコールの影響も価格に反映されることがあるというのが実情です。

購入を検討する際は、リコール修理が済んでいるかどうかを必ず確認し、納得した上で選ぶことが大切です。

よくある質問(Q&A)

ここでは「リコール」についてよくある質問をまとめました。

Q. リコール対象車は車検に通る?

A. 基本的にはリコール未対応でも車検は通りますが、安全性に直結するリコールは未修理だと車検に通らない場合があります。

Q. リコール通知が届かない場合はどうしたらいい?

A. 住所や名義変更が正しく行われていない場合、通知が届かないことがあります。中古車の場合は前所有者宛てに通知が行くことも多いため、購入後は必ず所有者情報を最新のものに更新しましょう。

Q. リコール修理に期限はある?

A. 基本的にリコール修理には期限がなく、いつでも無償で受けられます。車検が切れている場合でも修理可能です。

Q. リコール修理を自費で行った場合、後から返金される?

A. リコール発表前に自費で修理した場合、条件によってはメーカーから修理費が返金されることもあります。該当する場合はメーカーやディーラーに相談しましょう。

Q. リコール通知を放置したらどうなる?

A. リコール未対応のまま放置すると、大きな事故や故障のリスクが高まります。

最近の例では、2025年に三菱「eKクロスEV」と日産「サクラ」でブレーキ装置の不具合によるリコールが発表され、実際に人身事故1件、物損事故1件が発生しています。

運転者や同乗者、周りの人たちに被害が及ぶ可能性もありますので、リコール通知が届いたら、必ず早めに修理を受けるようにしましょう。

参考情報:三菱「ek」など約4万台リコール ブレーキに不具合、人身事故も|Yahoo! ニュース

まとめ

リコールは自動車の安全を守るための重要な制度であり、対象車でも売却や買取は問題ありませんが、安全のためにも、早めの対応がおすすめです。

中古車購入時はリコール対応状況も確認し、納得した上で取引しましょう。

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