こんにちは!アイカーマガジン編集部です!
「フロントガラスの凍結、どうやって溶かすのが正解なの?」「毎朝これをやるのはさすがにつらい」冬の朝、出発の10分前にフロントガラスが真っ白…
北海道で屋外駐車をしている方なら、毎年経験しているはずです。
「解氷スプレーを使う」「お湯はNG」など、調べるとそのような話が出てきます。
どれも間違いではありませんが、北海道の朝はもう少し寒いのです。
気象庁の平年値(1991〜2020年)では、札幌の1月の日最低気温の平均はマイナス6.4度。つまりよく引用される気温は、札幌にとって特に寒くもない、平年並みの朝の話なのです。
この記事では、気温によって何が有効で何が難しくなるのか、前夜にできる準備、背の高いミニバンならではの困りごとの対処法まで解説します。
定番の対処法は、何度の朝を想定したデータなのか?
まず、よく紹介されている手段を整理します。
JAFは2014年2月、長野県上田市の菅平高原(ホテル駐車場)で車を一晩駐車し、翌朝の状態を検証しました。
テスト車両:トヨタ ヴェルファイア、最低気温はマイナス6.3度という条件
結果は、解氷剤(解氷スプレー)をフロントガラス全体に散布すると1分ほどで凍結が溶け、デフロスターでは視界確保まで10分ほどかかりました。
凍結防止カバーをかけた車は、カバー内側に雪が降り込まず、凍結そのものがありませんでした。
有益な検証ですが、注目すべきは「最低気温マイナス6.3度」という条件です。
気象庁の平年値(1991〜2020年)では、札幌の1月の日最低気温の平均はマイナス6.4度——JAFの検証条件とほぼ同じです。
旭川はさらに厳しく、1月の日最低気温の平均はマイナス11.7度(気象庁平年値)と、JAFの検証条件のほぼ倍の冷え込みです。
もう一つ、札幌の1月は日最高気温が0度未満の日(真冬日)が平年で16.7日あり、月の半分以上、日中も0度を超えない日が続きます。溶かした水が「流れて消える」という前提自体が、そもそも成り立たない日が多いのです。
気温によって、効く方法と効かない方法がある
解氷方法の効き方は、その朝の気温によって大きく変わってきます。
おおまかな目安を下の表にまとめました。
| その朝の気温の目安 | 解氷剤の使い方 | デフロスター | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 0度〜マイナス5度前後 | まんべんなく散布すれば比較的よく効く | 時間をかければ溶ける | 溶けた水はある程度流れる |
| マイナス5度〜マイナス10度前後 | 量が少ないと表面だけ溶けて下が残る。溶かしながら拭き取る手順が要る | 単独では時間がかかる | 溶けた水が流れる途中で再凍結し始める |
| マイナス10度以下・日中も0度を超えない日 | 量が要る。溶かした水がすぐ再凍結するため、拭き取りとセットで | 補助的な使用にとどまる | 溶かすよりも「凍らせない」前夜の準備が最も確実 |
※上記は編集部による目安です。公的な基準があるわけではありません。実際は風の有無や氷の厚さ、車の置き方によって変わります。
解氷剤の成分は、エタノールなどのアルコール類が中心です。使うときは、アルコールの「凍らない温度」が濃度によって変わるため、薄く広げるよりも、一箇所に濃く多めにかけるほうが再凍結しにくいと考えられます。
ソフト99によれば水の凍結温度が0度なのに対し、エタノールはマイナス114.5度です。
ここだけを見ると「マイナス100度以上まで効く」と思われがちですが、これはあくまで成分そのものの性質であり、製品としての有効温度はソフト99・呉工業のいずれにも記載がありませんでした。
一方で、「マイナス40度でも効果あり」と明記している製品もあり、表記は製品ごとにばらつきがあります。まずはお使いの製品の表示を確認してください。
製品の有効温度が分かりにくい分、参考になるのが、同じアルコール系の寒冷地用ウォッシャー液です。ウォッシャー液は原液と希釈液それぞれの凍らない温度が公表されており、薄めるほど凍る温度は0度に近づきます。つまり、アルコールの濃度が濃いほど低温に強いということです。
解氷剤も同じ理屈で考えると、噴射した液が氷を溶かした水と混ざって薄まった瞬間から、再び凍りやすくなると考えられます。※ウォッシャー液の対応温度は製品表示でご確認ください。希釈の割合によって変わります。
やってはいけないこと
凍結した朝の焦りから、つい、やってしまいがちな行動がいくつかあります。
やってはいけない理由とセットで確認しておきましょう。
お湯をかける

JAFは「お湯をかけると温度差でガラスが割れたり、低温下では解けた水がすぐに凍り付くこともある」と注意を促しています。
北海道で実際に問題になりやすいのは、この「再凍結」です。真冬日にお湯をかけると、溶けた水がその場で凍りつき、かける前よりも状態が悪化してしまうことがあります。
ただし、専門家の間でも見解は分かれています。
ソフト99は「ぬるめのお湯なら一気に溶かせる(熱湯は厳禁)」としている一方、JAFやウェザーニュースは「ぬるま湯でも注意が必要」としています。どちらが正しいと言い切ることは難しく、実際には気温次第というのが実情です。
0度前後の朝であれば成立する可能性もありますが、真冬日にはこの方法自体が難しくなります。
いずれにしても、フロントガラス等の修理費用は高額なので、リスクを考慮するとお勧めはしません。
凍ったままワイパーを動かす

多くのメーカーの取扱説明書では、寒冷時に凍結でワイパーブレードがガラスに張りつくことがあるため、デフロスターでフロントガラスを暖めてからワイパーを作動させるよう案内されています。

凍結したガラスの上でワイパーを動かすと、ゴムが傷むだけでなく、モーターにも負担がかかります。
取扱説明書の書き方は車種や年式によって異なりますので、ご自身の車の取扱説明書もあわせてご確認ください。
硬いもので削る、氷を叩く
ガラスに傷が入るため、固いもので削ったり氷を叩くのはやめましょう。
もし、スクレーパーを使う場合は、氷用として設計されたプラスチック製のものを選んでください。

金属製のもの、鍵、カード類は使わないようにしましょう。
解氷剤をワイパーゴムにかける
ソフト99は
・「アルコール類はゴムに付着した場合、硬化劣化や強度低下を引き起こす原因となります」
・「ワイパーのゴム部分に解氷スプレーがつくと劣化につながるため、ワイパーを立てた後で使用しましょう」
と案内しています。
解氷剤を使う前に、ワイパーを立てておくのが基本です。
凍らせないために、前の晩にできること
毎朝溶かし続けるよりも、そもそも凍らせない準備のほうが、北海道の冬には現実的です。
カバーをかける

JAFの検証では、カバーをかけた車はカバー内側に雪が降り込まず、フロントガラスの凍結がなかったため、凍結防止対策として最も有効だったと報告されています。
前夜に5分かけてカバーをかけるか、毎朝10〜15分かけて溶かすか…
毎晩の脱着を手間と感じるかは人それぞれですが、マイナス10度以下の朝が続く時期には、カバーが唯一といっていい確実な手段になります。
撥水剤を塗っておく
JAFの検証では、撥水剤を塗っておいた車は凍結しましたが、スクレーパーできれいに削り落とせ、視界を確保できました。
対して何もしていない車は、スクレーパーを使っても凍結を取り切れず、視界を確保できませんでした。
解氷の手間のかかり方が大きく変わります。
駐車の向きを東向きにする
1月の札幌は日の出が遅く、日最高気温が0度を超えない日には日が当たっても基本的に溶けません。
加えて積雪の多い日は、場所によっては駐車位置そのものを選べないことが多いです。
東向きに停める場合は、朝が遅めで気温が比較的高い日の補助策と考えておくのがよさそうです。
車内の湿気を減らす

フロントガラスの内側が凍る原因は、車内の水分にあるため、濡れた靴や傘、雪を車内に持ち込まない習慣を身につけましょう。
降りる前に少しだけ外気導入に切り替えて車内の湿気を外に逃がすのも有効ですし、ドアまわりの水分を降りる前に拭き取っておくことも、ドアの凍結防止につながります。
JAFの検証では、ドアまわりを水で濡らした車の翌朝の開扉に20kg以上の力が必要になったのに対し、濡らさなかった車は約5kgで開けられたという結果が出ています。
屋根付きの駐車場を使う
屋根付きの駐車場があるだけで放射冷却や積雪の影響を減らせます。
時間の短縮にもつながるため、月極駐車場の選択肢があるなら、屋根付きを優先して検討する価値はあるでしょう。
背が高いミニバンだと、同じ「凍った」でも話が変わる

札幌でミニバンを専門に扱う当店だからこそ感じることですが、一口に「凍った」と言っても、車体の大きいミニバンはセダンやコンパクトカーとは対処法が異なります。
ガラスの面積が広い

ミニバンはフロントガラスの面積が広い分、解氷剤の消費量も、デフロスターで視界を確保するまでの時間も増える傾向にあります。
同じ「凍結」でも、セダンやコンパクトカーより手間がかかると考えておいたほうがよいでしょう。
もし解氷剤を使用する際は、ストックを多めに用意しておくと安心です。
カバーの脱着
ミニバンはカバーの面積も広いため、雪が積もるとその重さが増し、脱着そのものが一苦労になります。
さらに、カバーに積もった雪を外で払わずに外すと、雪や水が車内に持ち込まれ、今度は内側の凍結を招く原因になります。
カバーを外すときは、雪をしっかり落としてから専用の袋に収納しましょう。
スライドドアの凍結
電動スライドドアの場合、凍結したまま無理に開けようとすると、挟み込み防止機能が働いて動かなくなることがあります。前の晩のうちにドアまわりを濡らさない対策をしておくのが有効です。
なお、ドアミラーやリヤガラスに熱線・ミラーヒーターが付いている車であれば、それらを活用することで凍結をやわらげることもできます。
フロントガラスの凍結についてよくある質問
Q.解氷スプレーは、どれくらいの寒さまで効きますか?
製品によります。対応温度を打ち出しているものもあれば、記載が見当たらないものもあります。
そのため「どれくらいの寒さまで効く」と一概には言えないのが実情です。
使用するときは製品ラベルや説明書を確認し、指定された条件に従ってください。冷え込みが厳しい朝ほど量が必要になりますので、薄く広げず一気にかけるほうが効きます。
Q.ぬるま湯ならかけてもいいですか?
ぬるま湯で解氷する方法については、メーカーとJAFで見解が分かれていますが、日中の気温が0度以下のままの日は、基本的におすすめできません。
かけたお湯が再び凍りつき、ガラスの凍結が悪化してしまったり、ガラスが損傷してしまう可能性があるからです。
Q.エンジンをかけてデフロスターで待つと、どれくらいかかりますか?
JAFの検証では、デフロスターを使用した場合に視界が確保できるまで10分ほどかかっています。
ただし、車種ごとにフロントガラスの面積が異なるため、この時間は目安に過ぎません。凍結の程度や外気温によっても所要時間は変わります。
Q.凍結防止カバーはミニバンでも使えますか?
ミニバンに対応したサイズのものが用意されていることが多いです。
ただし、車両の形状やフロントガラスの大きさによっては合わない場合もあります。購入前に対応車種や寸法を確認してください。取り付けるときは、風でずれないようにしっかり固定しておく必要があります。
Q.内側が凍るのはなぜですか?
フロントガラスの内側が凍るのは、車内の湿気が原因です。
濡れた靴や傘、雪を持ち込むと車内の水分が増えます。降りる前に少し外気導入にして湿気を逃がしておくと、翌朝の内側の凍結を抑えやすくなるはずです。
Q.ワイパーは立てて駐車したほうがいいですか?
立てておけば、ゴムがガラスに張りつくのを防げます。
張りついたまま動かすと、ワイパーやガラスを傷める可能性がありますので、立てておくのは有効な対策です。
ただし、雪が多い夜は立てたワイパーに雪が積もって戻せなくなることもありますので、状況を見て判断してください。
まとめ
ここまで、その日の気温によって有効な手段が変わること、やってはいけないことと理由、前の晩にできる準備、そして背の高い車ならではの注意点について解説しました。
北海道の冬は、毎朝溶かすよりも凍らせないほうが結果的に楽になることが多いです。気温を確かめて、その朝に合う方法を選んでみてください。
どの方法が合うかは、駐車場所と朝の時間の使い方によって変わります。まずは一番寒い朝を想定して準備しておくと、慌てずに済みます。
ぜひこの記事を参考に、冬が来る前に一度、朝の段取りを見直してみてくださいね。




